2012年7月、奇抜なキャンペーンを実施した。それが「君には関係ないキャンペーン」、いわゆる炎上マーケティングだった。
楽待のサイトに訪れると、「あなたの年収は1000万円以上ですか?」と質問される。「1000万円以上です」をクリックすると「財を持つあなたにぴったりの収益物件のマッチングサイト」と表示され、「1000万円未満です」をクリックすると「財を持たぬあなたには見る必要のない収益物件のマッチングサイト」と表示される。ユーモアはあるが、「あなたには関係ない」と突き放す、かなり刺激的な内容である。
キャンペーンの目的はサイトの認知度を高めることだった。広告予算も限られている中、無難なランディングページを作成しても見てもらえない。そこで、斬新なコンテンツを作成することで当時話題だった「株式会社バーグハンバーグバーグ」に依頼をすることにしたのだ。
キャンペーン開始日には、バーグハンバーグバーグのスタッフがTwitterで本キャンペーンを告知してくれた。すると一気にツイートは拡散され、「楽待」の名前がSNSを中心に一気に広まった。この話題を聞きつけた多数のメディアから取材も受け、最終的にサイトアクセスは60万以上増加、会員数も1割増加した。もちろん炎上マーケティングなだけあり、批判的な声も少なくなかったが、施策としては大成功だった。
後日談だが、実は社内の人間でこのキャンペーンの存在を知っていたのは社長とマーケティング部社員の2名だけだった。特に隠していたわけではないが、営業などで外に出ている社員も多かったため、他の社員が知らないままキャンペーン開始を迎えてしまったのだ。
そしてキャンペーンを開始すると、すぐにアクセス集中でサーバーがダウン。開発部門は対応に追われ、カスタマーサポートの部門は「こんなことをするメディアは使いたくない」と不動産会社からお叱りを受けるなど、社内も混乱して一時騒然となった。