2011年7月、提供開始から約1年3カ月で「賃貸の楽待」サービスが終了した。また、「住宅の楽待」サービスも同年12月に終了することが決定。事業は「不動産投資の楽待」1本に絞られることとなった。
当社では経営戦略として、ランチェスター戦略をとっていた。ランチェスター戦略とは、シェア1位以下はすべて弱者と定義し、弱者が強者に勝つための戦略を説いたものである。その戦略を参考にして「住宅の楽待」「賃貸の楽待」では、弱者の戦略の一つである「局地戦」で営業を行っていた。「局地戦」とは言葉の通り、限りなく狭いエリアで戦うということだ。「住宅の楽待」であれば東京・世田谷区、「賃貸の楽待」であれば東京・恵比寿駅の範囲内を営業対象エリアとし、そのエリア内でシェアNo.1となることを目標とした。
しかし、結果は惨敗。「SUUMOを使っているから新しいサイトは利用しない」「費用が無料でも利用しない」と断られ、小さなエリア内でもシェアを拡大できなかった。この結果から「小さなエリアでダメならば、全国展開しても勝ち目はない」と判断し、「住宅の楽待」「賃貸の楽待」の終了を決めた。
この決断に社内は動揺した。始めたばかりの事業から撤退するという事実に不安や不満を募らせる人が増え、退職者が一気に増えた。しかし、会社が急成長し始めるのもこの時期からである。会社の文化や価値観と合わない社員が退職し、会社のことを考えて戦略を素直に実行する社員だけが残った。これによって経営判断もスムーズに行えるようになり、営業やマーケティング戦略も素早く実行できる組織へと変わっていく。