起業してから約3年が経った2008年11月、初めて単月の売り上げを黒字化することができた。これはさまざまな活動や社員一人ひとりの努力によるものであるが、意外にも2008年9月に起きた「リーマン・ショック」が大きな影響を与えていた。
リーマン・ショックとは、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻したことをきっかけに、世界規模の金融危機が発生した事象のことを指す。日本企業もこの影響を受け、倒産する企業や経営不振に陥る企業も多かった。
しかし、当社はマイナスの影響を受けなかった。マイナスの影響を受けるほどの規模ではなかったというのが正しい表現だが、むしろ顧客が増えるきっかけになった。
リーマン・ショック前は、不動産会社に営業すると「うちの顧客は法人だから、個人投資家に販売する物件はない」と一蹴されてしまうことが多かった。しかし、リーマン・ショックがもたらした不景気により、法人相手の販売だけでは経営が難しくなったらしく、「個人投資家向けの物件も扱うようにするから楽待を活用したい」という問い合わせが来るようになった。
業界全体を見ると、中堅デベロッパーの半数が倒産するなど、深刻な不景気だったかもしれないが、当時の「楽待」にとってはむしろ追い風となるような出来事だった。