楽待の提案サービスに、「回答ランク」「匿名Q&A(現在は廃止)」「回答状況一覧」という3つの機能が新たに追加される。これは、代表の坂口がひと月に80件以上の商談を行い、不動産会社から集めた声をもとに開発された機能だ。
坂口は元々エンジニアで営業職の経験はなかったが、営業経験のある社員も他にいなかったため、社長業務と兼任して営業活動も行っていた。しかし、いくら商談しても全く売れない。商談相手である不動産会社からは「こんなサイトで、本当に不動産投資家が会員登録しているのか?」「インターネットのサイトだし、サクラではないか?」とサービス自体を信用してもらえないことが多かった。次第に坂口は、営業活動がうまくいかない理由をIT化が遅れている不動産業界のせいだと思うようになっていった。
しかし、サービスが売れないままではビジョンの達成はおろか、ファーストロジックの存続すら危うい。坂口は改めて自身の商談内容を振り返り、サービスについて頂いた要望や意見をまとめることにした。そうして開発したのが「回答ランク」「匿名Q&A(現在は廃止)」「回答状況一覧」機能だった。
「回答ランク」は、どの会員に提案したら返信がきやすいか分かる機能だ。不動産会社からの提案に対し、返信率が高い会員ほど回答ランクは高くなる。この機能により、購入意欲が高い不動産投資家に出合いやすくなると考えた。
「匿名Q&A(現在は廃止)」は、提案を受けた会員が匿名状態のまま、不動産会社に提案された物件について質問できる機能だ。提案からの問い合わせ率を上げるために設けた機能だったが、利用する会員が少なかったため、のちに廃止される。
「回答状況一覧」は、会員がこれまでどんな物件の提案を受けて、それに対してどう回答したのか分かる機能だ。回答状況をみた不動産会社は、会員がどんな物件に興味を持つのか、また持たないのか事前にチェックすることができる。より確度の高い提案ができるように設けた機能だった。
これらの機能を開発したことで、これまで相手にされなかった不動産会社からようやく話を聞いてもらえるようになる。この経験を経て「顧客のニーズを満たし続けられない企業は滅びる」と強く実感する。不動産投資家や不動産会社の気持ちを理解するために、直接意見を聞いたり、アンケートを取ったりなどの活動を多く実施するようになった。
しかし、話は聞いてもらえるようになったものの、営業の成果は乏しいままだった。商談では必ず「楽待を活用して物件が売れた実績は何件出ているか」と質問され、それに対しては「今はまだないですが、今後出てくると思います」という苦し紛れの回答をするしかできなかったのだ。