楽待を開設して半年経ったが、サイトからの売り上げはほぼ無い状態が続いた。当時の不動産業界は電話やFAXを使った営業が主流であり、楽待のサービス説明をしても、不動産会社からは「インターネットで物件が売れるのか?」と言われることも多かった。そして2006年9月には、運営資金も残り300万円、3カ月後には資金が枯渇する状態まで追いつめられた。
そんなとき、ベンチャーキャピタル3社からの出資が決定する。出資額の合計は3000万円、会社にとってまさに救世主だった。
楽待をリリースした際、メディアに「不動産の逆オークションサービス」と取り上げられたことがきっかけで、複数のベンチャーキャピタルから声をかけられていた。しかし、いざオフィスに来てもらうと、狭いワンルームマンションに社長1人で運営している小さな会社であることが分かり、ほとんどのベンチャーキャピタルは去ってしまったのだ。
そんな中、「このビジネスモデルは面白い」と1社が出資をしてくれることになる。そして1社出資したことを受け、続くようにその他2社からの出資も決まった。
しかし、出資の条件には「ファーストロジックが上場すること、上場できない場合は出資額を全額返金すること」という買取請求の条件が含まれており、この出資をきっかけに「上場」を強く意識するようになる。創業から約1年、貯金ができないどころか日々の生活費も足りず、100円ショップで買った缶詰とごはんパックばかり食べていた坂口は「上場できなければ死ぬ覚悟でやらなければならない」と意気込んだ。